犬が大好きな、ユキちゃんという女の子がいました。
家では、みんな留守がちだった為、犬を飼ってもらえませんでした。
ユキちゃんには、ちづ子おばあちゃんがいました。
ちづ子おばあちゃんの家には、マルチーズのロンという犬がいました。
ユキちゃんは、毎日、長い長い道を歩いて、ちづ子おばあちゃんの家に遊びに行っていました。
ロンも、ユキちゃんが大好きでした。
それなのに、別れは突然やってきました。
ロンは、眠るように亡くなりました。
その夜、ユキちゃんは夢を見ました。
ロンが、オバケになって出てきたのです。
ユキちゃんは聞きました。
どうして、オバケになったの?と。
ロンは言いました。
ちづ子おばあちゃんが嫌いだと。
いつも、お尻をつねられてたと。
その仕返しがしたい、と言いました。
ユキちゃんは、私がちづ子おばあちゃんをつねってあげるから、オバケにならないでと。
ユキちゃんは、ちづ子おばあちゃんに言いました。
ロンがオバケになったのは、ちづ子おばあちゃんのせいだと。
ちづ子おばあちゃんは、泣きました。
ちづ子おばあちゃんは、ロンが、ちづ子おばあちゃんより、
ユキちゃんが好きなのを許せなかったからだと、泣きました。
ユキちゃんは、その夜も夢を見ました。
オバケのロンが出てきました。
ロンは、ちづ子おばあちゃんに愛されていたと、
寂しかったんだと知って、心を許しました。
ありがとう。
そう言って消えました。
目を覚ますと、シャボン玉がパチパチッと、消えました。
ユキちゃんは、なんだか嬉しくなりました。
きっと、ロンは天国へ行ったと確信しました。