今日は、学校の頭髪検査です。
亜紀ちゃんは、前髪をパッツリ切られ、オンザマユゲになりました。
亜紀ちゃんは、次の日から学校に行かなくなりました。
心配したお母さんが、校長先生に相談に来ました。
お母さんは、ポロポロ涙を流しました。
これには、校長先生も困ってしまいました。
「お母さん、この学校の規則ですから、しょうがないんです。」蚊のなくような声で言いました。
足は、プルプルふるえていました。
お母さんは、ガッカリ肩をおとして、学校を後にしました。
次の日です。
友達の1人の、了栄ちゃんが朝、家へやってきました。
了栄ちゃんの前髪も、パッサリ切られた、オンザマユゲでした。
その次の日です。
また友達の1人の香代ちゃんが、これまたパッサリ切った、オンザマユゲでやってきました。
それでも亜紀ちゃんは、部屋から出てきません。
亜紀ちゃんは、お母さんに言いました。
「こんな髪じゃ、恥ずかしくて遊園地にも行けない。」
そう言うと、また部屋に閉じこもってしまいました。
お母さんは、考えました。
亜紀ちゃんが、遊園地に、恥ずかしくなく行ける事が出来たら、学校にも行ってくれるようになると…。
お母さんは、亜紀ちゃんが大好きな遊園地、ハッピーランドに電話をしました。
ハッピーランドの人達は、なんとか亜紀ちゃんが喜んでくれるようにと、協力をしてくれることになりました。
ハッピーランドの人達は、早速、亜紀ちゃんに招待状を送りました。
これで亜紀ちゃんが機嫌を直してくれるようにと…。
亜紀ちゃんは、家に届いたハッピーランドの招待状を手にし、大喜びしました。
「お母さん。大変、私、遊園地から招待状が届いたわ。」
亜紀ちゃんは、そう言いながら、ジャンプして喜んでいました。
お母さんは、この日の為に、亜紀ちゃんにドレスを買って、押し入れにしまっていました。
でも、亜紀ちゃんは言いました。「こんな前髪じゃ、行けないわ。」と…。
そんな亜紀ちゃんに、お母さんはカツラを差し出しました。
「そんなに恥ずかしいなら、このカツラをがぶって行きなさい。」
亜紀ちゃんは、カツラとドレスを目の前に、大喜びして、お母さんに抱きつきました。
亜紀ちゃんの喜んだ姿に、お母さんもひと安心しました。
そして、招待状を持って遊園地に行く日がやってきました。
遊園地へ着いた亜紀ちゃんは、びっくりしました。
着ぐるみをきたアシカも、パンダも、ウサギも、クマも、みんな亜紀ちゃんのようにカツラをがぶっていました。
そして、前髪はみんな、オンザマユゲでした。
亜紀ちゃんをガイドしてくれるお姉さん達も、みんな、オンザマユゲで、やってきました。
亜紀ちゃんは言いました。
「みんな、ありがとう。私も、オンザマユゲなんて、ちっとも恥ずかしくないわ。」
そして、がぶっていたカツラを、ぬぎ捨てました。
そしてハッピーランドの人達の温かさが、亜紀ちゃんの心を動かしました。
亜紀ちゃんは、感動して涙を流していました。
その様子を、わからないように陰からついてきた、お母さんも涙を流していました。
亜紀ちゃんは、次の日から、毎日学校に行くようになりました。
もちろん、オンザマユゲで…。