大きな大きな森の奥に、あなぐらがありました。
その地面の奥深くに、モグラのグミとモルが住んでいました。
グミは、外へ出て遊ぶのが、大好きでした。
グミは、いつものように、外で遊んでいると、
カラスのルルに見つかりました。
グミは、森に落ちたクルミを、こっそり持ち帰っていました。
ルルが怒りました。
グミは、ごめんなさい。と、謝りました。
グミは、家に隠していたクルミを、ルルに手渡しました。
グミは、森の友達リスのクックの為に、こっそりクルミを集めていたのでした。
リスのクックは、木の根に引っかかり、足をくじいていました。
そんなリスのクックの役に立とうと、グミは考えていたのでした。
グミは、池にたどり着きました。
カエルの王様に、森の仲間の幸せを祈りました。
カエルの王様は、グミに、自分の指を切って、1つ差し出しました。
『これは、誰にも効く薬に代わる。
お腹が空いた時、ごちそうにも変わる。
ケガをした時、薬草にもなる。
大事に使いなさい。
きっと、お前の為になってくれる。
でも、心の悪い奴に手渡せば、幸せが壊れてしまう。』
そう言って、池に姿を消しました。
グミは、カエルの指を、大切に持って帰りました。
グミは、家に帰って、モルにカエルの指の事を話しました。その話しを、ヘビのブルが聞き耳をたてていました。ヘビのブルは、人間に傷つけられ、ボロボロの身体でした。
カエルの指を手に入れて、復活を企んでいました。
カエルの指を、小さく切って、いつまでも、この世に生まれ変わろうと、考えていました。
グミは、カエルにもらった指を、家のすみに穴を掘って、大切に隠しました。
グミは、リスのクックに、カエルの指の話しをしました。
クックは、ヘビのブルには絶対、渡してはいけないと興奮していました。
グミは、長老のフクロウのジャルに、相談に行きました。
ジャルは、その大切な指は、私が預かっておくのが一番安全だろうと言いました。
グミは、布に包んだカエルの指を、そっと渡しました。
フクロウのジャルは、これで世界に平和が来るだろう。
ホーッホッホッと、嬉しくしていました。
そして、今度ヘビのブルが近づいてきたら、
森のみんなで、知らん顔して逃げ切りなさいと、命令しました。
グミは、イエッサーッ。と、敬礼をすると、
フクロウのジャルは、ホッホッホッ。と、笑っていました。
グミも、笑っていました。