子ぐまのミーナは、産まれて初めて生理になりました。
母ぐまに言うと、やったわ。
やっと、後継ができるのね。
大喜びでした。今日はご馳走よ。
そう言って、母ぐまは森の中に消えていきました。
でも、ミーナはしょんぼりしていました。
ミーナは、恋わずらいをしていました。
しかし、母ぐまには知られたくないのです。
それはミーナが好きになったのは、うだつのあがらない、ハチミツ取りの青年でした。
人間でした。
ミーナは、青年の仕事をする背中を毎日見ていました。
ハチよけの帽子をかぶり、ミツを取っては、運び、町で売っていました。
余ったミツを、いつも、アリやウサギにただでやる優しい青年でした。
ミーナは、アリとウサギに相談しました。それは素敵。私は大賛成よ。
ウサギは喜んでくれました。一方、アリは悩んでいました。
人間はクマを嫌ってる。
クマも、人間を嫌ってる。
昔からの言い伝えじゃないか。
クマが人間を襲ってから、人間はクマを目の敵にしている。
アリは、続けました。
あの青年は優しいが、食べ物がなくなったら、どうする?
クマを殺して、売りに歩くさ。
ミーナは、泣きじゃくりました。
ウサギは、なぐさめました。
そして言いました。
アリが言うこともあるわね。
人間がクマを受け入れてくれるかどうか…。
それが心配。
ミーナは泣きながら言いました。
そばにいられるだけでいい。
お守りのようになりたいだけ。
そっと、見つめたいだけ。
いつの間にか、夜も更け、星がキラキラ光っていました。
星がいいました。
それじゃあ、命を捨てられるかい?
ミーナは答えました。
今のままなら、命があっても仕方ないわ。
あの人のところに行けるなら、命なんてなくても構わない。
それを言うと、それじゃあ、コロポックルのまじないで、魂をうめこんであげるから、
明日の夜、切った爪を持ってここにくること。
みんなに、さよならをしっかり言ってくること。
守れるかい?
ミーナは首をコクンとうなずきました。
次の夜、ミーナは、切った爪を握りしめ、ここにやってきました。
星が現れました。
さあ、おまじないをかけるよ。
目をつぶって…。1.2.3…。