ある森で、
キツツキのルビは、1羽のヒナを産みました。
木に登って、リスのラナが見に来ました。
こうの鳥のミルもやって来ました。
スカンクのドルも、後から加わりました。
みんなは、ルビの産んだヒナを見て、びっくりしました。
なんと、クジャクのヒナでした。
何故、こんな事になったのか?
みんなは、シーンとしていました。
ルビはヒナを自慢していました。
ルビだけは、クジャクのヒナだと気づいていません。
これはどうしたことでしょう…。
リスのラナも、こうの鳥のミルも、スカンクのドルも、
これはルビの為に秘密にしておこうと決めました。
森のみんなは、まだ知りません。
スカンクのドルが言いました。
ヒナをこっそり取り替えたらどうかと…。
こうの鳥のミルも、さっそく捜してみると、乗り気でした。
ミルは、いろんな町を飛んで、キツツキのヒナを捜していました。
すると、となり町で、泣きながら飛んでいるクジャクを見かけました。
話しかけてみると、ヒナを人間に取られてしまったと、
そのヒナを取り返しに捜し回っているところだったのです。
ミルは、キツツキのルビの話しを、うっかりしてしまいました。
クジャクは、ぜひ会わせてほしいと頼んできました。
ミルは、困り果てました。じゃあ、そのかわり…。
ミルは、交換条件を出しました。
クジャクに、縁日で売っているヒヨコを1羽連れて来ることができるならと…。
クジャクは、必死になってヒヨコをおびき出して、
1羽、ミルの前に連れて来ました。
これで、ヒナに会わせてくれますか?
クジャクは、ミルに、言い寄りました。
運良く、ルビは、自分のヒナがクジャクだと気づいていない様子。
自分のヒナが、また、ヒヨコに変わっても、
気づかないだろうと、ミルは考えていました。
ラナとドルに協力してもらい、ルビに巣から離れてもらうことにしました。
ヒヨコをそっと巣に入れ、クジャクのヒナをふところに隠して、
となり町のクジャクのところまで、飛び去りました。
ラナとドルは、ルビが気づきはしないかと、ハラハラしていました。
でも、大成功でした。
ルビは、ヒヨコを抱きしめていました。
ヒヨコも親だと思い、甘えていました。
ラナとドルは、睦まじい光景を前に、胸を熱くさせていました。
親なしのヒヨコに親を見つけてやり、ヒナを失った親に子を見つけてやり、
みんなが幸せになる方法でした。
ミルは、幸せを運ぶコウノトリになりました。
10月20日 姫路にて。