カエルの指を手に入れられなかったブルは、
ふと、神社の言い伝えを思い出しました。
満月の明け方6時2分に、キツネ様に会いに来た者は、
願い事を1つ、叶えてもらえるという事を。
ブルは、神社に行きました。
今日は、満月の夜でした。
神社の前をブルがウロウロしていると、キツネ様の使いのハトが出てきました。
『今夜は、寒いですよ。毛布を差し上げましょう。』
ハトは、毛布をブルの前に置いて神社の中へ帰っていきました。
ブルは、毛布にくるまって、初めて優しさというものを知りました。
心の温かさに出会った事のなかったブルは、泣き出しました。
今まで、企んでいたものが、サッと消え去りました。
そして、恋心が芽ばえました。
ブルの初恋です。
ブルは、キツネ様の使いのハトに、恋をしてしまいました。
時計が、夜明けの6時2分を指した時、心を決めました。
そして、キツネ様に会いに行きました。
ブルは、願いを言いました。
すると、キツネ様は、笑いました。
『お前の心が、恋でキレイになるとはのぉ。』そう言って、また笑いました。
そして、ハトがブルの前に来て、『これからは、あなたにお使いする事になりました。』
なんと、ブルの初恋は実ったではありませんか。
満月の夜明けと共に…。
すると、突然、ブルが暴れ出しました。
どうした事でしょう。
ブルの身体の色が、真っ白に変わりました。
『これは、大幸運じゃ。』キツネ様は叫びました。
ハトは、祈るように両手を合わせました。