ある森に、チルという女の子が住んでいました。
チルは、歌が大好きな女の子でした。
森に住む、ウサギやクマに歌を歌ってあげました。
ウサギやクマは、その歌声に、懐かしいお母さんを思い浮かべていました。
チルの歌声は、すぐさま町中の噂になりました。
町の王様はチルに招待状を送りました。
チルは、町中のみんなの前で歌いました。
みんな、チルが大好きになりました。
チルが遊びに町を歩いている間中、みんなに、もみくちゃにされました。
チルは、自由を奪われ、声が出なくなりました。
森に帰っても、チルは歌がうたえなくなりました。
ウサギやクマも、励ます言葉がみつかりませんでした。
チルの元へ、町中のみんなから手紙が届くようになりました。
タンポポがそえてある手紙が、ふと、チルの目にとまりました。
そっと開けてみると、『世界で一番好きでした。今もです。』と、書かれてありました。
チルは、胸をうたれました。
この人の為に、もう一度歌をうたいたいと思いました。
すると、呪文がとけるかのように、チルの声は元通りになりました。