おじいさんと、おばあさんに育てられているユナという、
1人の女の子がいました。
引っ込み思案で、なかなか友達が作れず、いつも1人ぼっちでした。
ある朝、女の子が起きると、窓にクモがいました。
クモは、窓の端に足が引っかかり、その場から動けませんでした。
女の子は、クモを助けて逃がしてやりました。
クモは、嬉しそうに逃げていきました。
その次の朝、ユナの部屋の窓にクモの巣がありました。
その巣に、綺麗なアゲハ蝶がひっついていました。
これは、クモからユナへのプレゼントでした。
友達のいないユナの為、クモが友達をプレゼントしたのです。
ユナは、早速、蝶を巣から離してやり、虫カゴに入れました。
そして、おじいさんとおばあさんに、見せにいきました。
おじいさんとおばあさんは『綺麗な蝶じゃのぉ。』と、言いました。
ユナは、『私の友達よ。』と、自慢気に言いました。
『でもなぁ…。』おばあさんは言いました。
『こんな綺麗な蝶を待っている片割れもいるじゃろうなぁ。』少し、悲しそうでした。
そして、おじいさんが言いました。
『わしに、おばあさんがいたように、運命の相手というものが、必ずおるものじゃ。この蝶にも、いるはずじゃ。寂しいじゃろうが、蝶を花畑に帰してやりなさい。』
『運命の相手?』
ユナは、聞き返しました。
おじいさんとおばあさんは、ニッコリ微笑んで、『ああ、そうじゃ。』と、言いました。
ユナは、蝶が羨ましく思えました。
『大丈夫。ユナ、お前にもおる。』
そう言われて、ユナも、ニッコリ微笑みました。